黄地緑彩雲龍文茶鐘
H168 お問合せ
時代 清雍正窯
銘款 高台裏染付款「大明嘉靖年製」
サイズ 高さ10cm、口径:5.6cm、底径:4.7cm。

造形的には2まわり小さい筒茶碗で、”茶鐘”と言います。伏せると鐘の形になっていますから、そう呼ばれました。女性用の茶碗です。

作りは素三彩に帰類される”黄地緑彩”と言います、素地に雲龍文を彫り、2色の絵具で塗ります。ご存知の通り、明亮な黄色は中国では特別な意味を持っています。もともとこの様式の素三彩磁器は明宣徳年から始まり、明嘉靖年前後は大いに宮内用の茶碗として使われました。”黄地緑彩”の場合は妃子達用の茶碗になります。

清朝廷早期三代には、明のこの制度を沿用しました。景徳鎮の官窯で明素三彩を写しました。若干黄色と緑色は薄く見えますが。それは、顔料の問題ではなく、着色の仕方の違いによるものです。
明素三彩の場合は、素地に刻文→素焼→絵具で刻文に沿って塗る→低温2度焼きですから、色は厚く塗れます。色と色の境界線もはっきりとしています。おまけに地も適度な厚さがあり、黄色は濃く見えますから、”姣黄”と呼ばれます。
清早期三代官窯の場合は、素地に刻文→白釉塗り→焼成→絵具を塗る→低温2度焼きですから、絵具はすべすべの白磁の上に塗るので、綺麗に刻文の境に沿ってぬれないです。厚くもぬれません。おまけに、胎地は清の好みの高級品で、”脱胎”と呼ばれる極薄手ですから、結局絵具の色は薄く見えるようになりました。しかし、高台足壁に溜まる黄釉を見ますと色は実に明嘉靖年のものと同様に濃いです。

この手の極薄いものは、民用には考えられない贅沢なものでありますが、宮内用としては、大したことではないです。普通お妃様が使う茶碗です。壊れやすいものですから、今まで保存されているのは奇跡に近いものです。遺品は極く少ないほか、相場は一段と高いです。

落款は明の制度ものをそのまま写しているので、嘉靖年の銘を用いました。官製実用品の場合は、”写し落款”とは言わず、”寄托款”といいます。”沿用古制”の意を含みます。この品については、もうちょっと色々話はできますが、長文になりますので、ご興味がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。